今月の法話


『無常』なればこその感動

 

 紅葉の美しい季節となりました。山は緑一色から赤や黄色の彩りへと変化を見せています。今年も多くの人が行楽地へ出向いていることでしょう。

しかし、この鮮やかな彩りはつかの間の美しさ。様々に彩った葉は、いのち燃え尽きたように地面に舞い落ち、冬の到来を待つ。

 

 お釈迦さまは、このことを無常、「すべてのものは消滅変化を繰り返し、とどまることを知らない」と説かれています。

 紅葉が一年中あれば、これほど多くの人が訪れ、喜び、感動することはないでしょう。日々絶えず移り変わる季節の中のほんの一時、その時にしか出会うことのできないものだからこそ、私たちは感動するのです。紅葉の美しさに惹かれつつも、実は、無意識のうちにその奥にある無常感を感じ取っているのではないでしょうか。

 

 私たちが常日ごろ当たり前のように思っているもの。実は全て無常、常にあるとは限らない。

 私が今頂いているこの生命は無常です。

 私が愛している家族も無常です。

 私が頼りにしている友達も無常です。

 私が持っているお金も財産も無常です。

 私が今生きているこの瞬間も無常です。

 このことに気づかされることによって見えてくるものがたくさんあります。生命の尊さ、家族の温かさ、友達の有り難さ、物の有り難さ、時間の大切さ……。

 

 そして、無常の中に生きる私たちだからこそ、唯一、変わることなく、消えることのない阿弥陀如来の教えに出遇って欲しいというのがお釈迦様の願いであり、親鸞聖人の願いなのです。